『とどまることなく』　奴隷解放につくした黒人女性ソジャーナ・トゥルース　　

　　アン・ロックウェル　作 　もりうち　すみこ訳　グレゴリー・クリスティー　絵　　国土社　2002年　低学年から

　副題に書かれているようにアメリカ史に名を残すソジャーナの奴隷解放に立ち向かう物語なのですが、皆さんはこの女性をご存知で したか。恥ずかしながら、私は、この絵本を手にとるまでまったく知りませんでした。けれどもアメリカの火星探査機も彼女の名にちなん でつけられているというのですから、奴隷解放の歴史の中でいや、アメリカの歴史の中でとても大切な方なのでしょう。“こんな素敵 な絵本で出会うことができてよかった。”というのが素直な感想です。 　

　ソジャーナは1797に年うまれました。当時アメリカは自由と平等の名の下に建国されながらも多くの奴隷が売買されていました。彼 女もその一人でした。ソジャーナは過酷な境遇を経て、自分たちも白人同様人間らしい生活と送りたいと、アメリカ中を演説して回り ます。　彼女の呼びかけが大きな流れとなり、やがてリンカーンの奴隷解放宣言に結びついていくのです。 　

　この物語は過去の歴史を語るだけではなく、こつこつと積み重ねながらつねに前向きに進んでいく人間の姿が描かれています。いつ の時代であろうとソジャーナの真摯な生き方は見習いたいと思います。